読書

 『刀狩り』&『雑兵たちの戦場』藤木久志

社会科の教師をしていながら、藤木久志の名を聞いたのは、今年2月の研究会が初めてであった。高校日本史の先生が、歴史の英雄・偉人伝でない民衆の視点に立って歴史を問い直す必要があるのではないかということで紹介された。 『刀狩り』から印象に残った箇…

 ヒルズ黙示録 検証・ライブドア 大鹿靖明

4月27日、夕食時、ヘリコプターのエンジン音がウルサイ。子どもが「今日は何でこんなにヘリコプターが飛んでウルサイの?」と聞く。「ホリエモンが出てくるからだよ」と答える。その時、テレビの画面にニュース速報が流れた。「堀江貴文 保釈」と。子ども…

 憲法「私」論 水島朝穂

『みんなで 考える前に ひとりひとりが 考えよう』 というサブタイトルに惹かれた。私は社会科の教師として教壇に立っているが、子どもたちに伝えたいことの一つは、他者の意見に流されることなく、自分の意見・考えを持つということだ。まず、ひとりひとり…

鴻上尚史『ヘルメットをかぶった君に会いたい』

憲法の本を探しにジュンク堂を訪ねたところ、書名と「1969年4月―ヘルメットをかぶっていた君は、いま、どこに?」という帯が目に飛び込んできた。読まずにいられない衝動に駆られた。 鴻上は言う「僕達の世代は“遅れてきた世代”とか“シラケ世代”とか言…

 『哲学ってなんだ』 竹田青嗣

哲学ってなんだ―自分と社会を知る (岩波ジュニア新書)作者: 竹田青嗣出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2002/11/20メディア: 新書購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (15件) を見る 久しぶりに骨のある本を読んだ。岩波ジュニア新書を甘く見ては…

『不勉強が身にしみる』 長山靖生

不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か (光文社新書)作者: 長山靖生出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/12/13メディア: 新書購入: 1人 クリック: 89回この商品を含むブログ (72件) を見る これもまた光文社新書である。読み終えて、とっても満…

『下流社会』 三浦展

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)作者: 三浦展出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/09/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 125回この商品を含むブログ (661件) を見る これも光文社新書のベストセラーと呼ばれているものである。個人的には以…

『さおだけ屋は なぜ潰れないのか?』 山田真哉

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)作者: 山田真哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/02/16メディア: 新書購入: 10人 クリック: 331回この商品を含むブログ (1042件) を見る 昨日の朝日新聞の“be on Saturday”でも…

『イラクの戦場で学んだこと』 岸谷美穂

イラクの戦場で学んだこと (岩波ジュニア新書)作者: 岸谷美穂出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/09/21メディア: 新書 クリック: 11回この商品を含むブログ (11件) を見る イラク戦争の実態を学ぶつもりで書名だけをたよりに購入した。ところが、イラク…

『難民キャンプの子どもたち』 田沼武能

カラー版 難民キャンプの子どもたち (岩波新書)作者: 田沼武能出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/04/20メディア: 新書 クリック: 43回この商品を含むブログ (10件) を見る これもまた岩波新書のカラー版。 スーダン南部は10年以上も政府軍との争いが…

『ベトナム 戦争と平和』 石川文洋

カラー版 ベトナム 戦争と平和 (岩波新書 新赤版 (962))作者: 石川文洋出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/07/20メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (12件) を見る 石川文洋さんの東京都写真美術館での講演を聴いて購入した。第3部の「…

『博士の愛した数式』 小川洋子

博士の愛した数式 (新潮文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/11/26メディア: 文庫購入: 44人 クリック: 1,371回この商品を含むブログ (1054件) を見る あまりに評判になってしまった本を遅れて読むのは少々恥ずかしい。このように感じる…

最近「戦争」をキーワードとした本ばかり読んでいる。そんな折、西武線の車中で、校長先生から1冊の本を紹介された。それが沢木耕太郎の『凍』であった。すぐに、近くの本屋で探したがダメ。Amazonで注文しようとしたが、4〜6週間発送にかかるという。 昨…

久しぶりに恩師を囲み、ゼミOBで高田馬場で盛り上がった。大阪大学の志水宏吉さんが良い仕事をしているという話がでた。私もそう思うと言いつつ、少々酔いに任せて薀蓄を語った。ちょうどその時、『学力を育てる』の最終章を読んでいるところであったので、…

『不平等』論については、教育社会学者の苅谷剛彦氏(詳細については後日述べたいと思いますが、私の高校の2級上の先輩です。その当時から弁舌さわやかでカッコ良かったです)の著作で十分読み込んできたつもりではあったのですが…。 またまた「積読」され…

運動会の不審者兼駐輪対策をした折に発せられた「うるせぇーな。轢き殺すぞ!」から立ち直れない。もし、あの時・・・と想像してみる。 そんな折、机上に積読されていた日垣隆氏の『そして殺人者は野に放たれる』が眼に入った。あまりに衝撃的な事件とその後…

いつであったであろうか…?佐藤忠男氏の『戦争はなぜ起こるのか』が書評で紹介されていたのは…?我が家には「積読」本が数多くある。読もう読もうと思っていたものの、なかなか読めずにいた本の山である。今春、職場を変わり片道1時間弱の通勤電車に揺られ…

『戦争のつくりかた』は、50ページに満たない小冊子である。絵本というには絵が少々寂しい。しかし、読後には重たいものが残る。今年は「戦後60年」という文字が新聞を賑わせていたけれど、もしかしたら「戦後」ではなく「戦前」ではないのだろうかという気…

ワシントン大行進から30年経過した1993年に「キング牧師」と「公民権運動」について徹底的に学習したことを思い出す。社会科はもちろん道徳の時間もフルに使って授業をした。最後にはキング牧師の娘:ヨランダさんに手紙を書いた。当時の英語の先生が生徒の…

しばらく書棚で眠っていた『ベネッセが見た教育と学力』を読む。誰だったか忘れたけれど誰かに薦められて購入した記憶がかすかにある。小論文入試の出題傾向「福岡県立大学人間社会学部・後期・H11年度」の問題が、社会科教師としては活用できるかなと思っ…

自民党いや小泉純一郎の「総選挙」大勝利に言葉もない。日本版の9.11ショックである。午後8時、久米宏が出るTBSで自民党『307』の数字を見て、「まさかぁー」とチャンネルを変える。NHK「285〜325」 日テレ「300」 フジ「306」 テレ朝…

「夏休みの宿題」も終わっておらず、超多忙を極めているにもかかわらず、一気に読んでしまった。このため睡眠不足で頭と目が痛い。何をしているのだろうと深く反省している。 さて、『流れている星は生きている』であるが、結末はわかっている(正彦さんが数…

夏休みの推薦図書に挙げられていた森村誠一の『エンドレスピーク』を読む。これまで森村誠一氏の小説を敬遠していた者としては「読まず嫌い」をせずに、もっと早くに読めば良かったと深く反省した。 「槍ヶ岳での再会」を誓った5人の若者の激烈な人生。紫電…

昨日は『文藝春秋』6月号を読んで一日を過ごした。月刊『文藝春秋』は、亡くなった父がよく読んでいた雑誌である。休日によく寝転がって読んでいた。私が『文藝春秋』を直接購入するのは初めてかもしれない。新聞広告の「三島自決からあさま山荘事件まで 証…

今年度の「日本カリキュラム学会」の課題研究で初めて鍋島先生に出会った。パワーポイントを使って大変わかりやすいプレゼンテーションをされた。その縁で、今回『効果のある学校』を読むこととした。序章から「いいぞ!その通りだ!」と思う文章に出会える…

浜之郷小学校:大瀬校長の『輝け!いのちの授業』を読んで以来、気にかかっていた天明3年の浅間山大噴火に関して、今日一日、ホームページや前掲書を読んで過ごした。松田智雄先生がいみじくも語られた次の言葉が心に残る。 鎌原村は「東洋のポンペイ」「日…

私が茅ヶ崎市立浜之郷小学校を訪れたのは、5年前の風の強い日であった。教室の窓から富士山がとても美しく見えた。壁のない教室に違和感を覚え、隣の教室の声や音が妙に気になったことを記憶している。あの時、大瀬校長先生はお話されたのだろうか?体調を崩…

杉並区立和田中学校*1の藤原和博校長が、全校生徒に重松清の『エイジ』を配布したという記事を読み、どんな本なんだろうと読むこととした。「中学生」を評する言葉として、「キレる」「荒れる」「病んだ」「疲れた」「きしみ」「ひずみ」「悲鳴」「SOS」…

「『効果のある学校(effective school)』論が、点数で表示される基礎的な学力テストをもっぱら問題にし、『点数を上げるために、何が効果的(effective)だったか』を議論するのに対して、私の言う『力のある学校(empowering school)』は、そこでの課題…