『不平等』論については、教育社会学者の苅谷剛彦氏(詳細については後日述べたいと思いますが、私の高校の2級上の先輩です。その当時から弁舌さわやかでカッコ良かったです)の著作で十分読み込んできたつもりではあったのですが…。
 またまた「積読」されていた本が「もったいない」と叫んでいるように感じ『封印される不平等』を手に取ることとなりました。何ヶ所か気になった文章を下記に引用し若干のコメントをします。


○ 東京を見ても、どの私鉄に乗るかによって、明らかに広告の内容も違えば、乗っている人の服装も違うし、読んでいる新聞や読んでいる本も違う。 −−− 東武は東急とつながったというのを宣伝しているんだけれども、東急のほうはほとんど無視している。
 →(引用者)言われてみれば「確かに、そうだ!」
○ 所得税の所得階級別の税率の変遷 … 1986年には最高税率70%の高さであったのに対して、それ以降徐々に下げられ、現在では37%まで低下している。 −−− わが国の所得税制は過去20年弱、一貫して累進度の低下政策がとられてきた。これが再分配所得の格差拡大、すなわち不平等化に寄与したのである。
 →(引用者)子どもたちに「累進課税制度」を教える立場として、消費税率を上げる前に所得税率を上げないのであれば庶民は暴れよう!と訴えたい。
○ 最低賃金を受け取る人は労働しているのに対して、生活保護を受けている人は労働していない人が圧倒的に多い。 … 労働している人の受け取り分が、労働していない人のそれより低いのは、人間心理として理解が困難であるし、勤労へのインセンティブとして大きなマイナスである。
 →(引用者)そうだ! 以前、教え子に「先生、税金払っているの? バカじゃない。うちの親は頭を使ってるから払ってないよ」と言われた。彼女の母親はBMWからベンツに乗り換えていた。どこか間違っているよ今の税制。絶対に!
○ 先進国でのGDPに対する教育予算の比率は、先進国G5のうち4カ国(すなわち英仏米独)の平均が5%であるのに対して、日本は3.5%にすぎない。このような低比率であれば、少人数学級、あるいは教師や教授一人あたりの生徒数、研究費支出額、優秀な教育者、研究者の輩出、といった教育に関することは見劣りせざるをえない。
 →(引用者)国をあげて「教育改革」を叫んでいるのに、なぜ国はカネをかけようとしないのだろうか?「二期制」やら「学校選択の自由化」やら、カネのかからない「改革」を「改革」と称していることを、なぜマスコミは問題化しないのだろうか? 腹が立つ。 マスコミはマスコミの役割を果たしているのであろうか。 
 
 
封印される不平等