久しぶりに恩師を囲み、ゼミOBで高田馬場で盛り上がった。大阪大学の志水宏吉さんが良い仕事をしているという話がでた。私もそう思うと言いつつ、少々酔いに任せて薀蓄を語った。ちょうどその時、『学力を育てる』の最終章を読んでいるところであったので、尚のことであった。それは『効果のある学校』の事例として取り上げられているE小学校についてである。


 E小学校は、大阪府下に所在する、130年以上の歴史を有する公立小学校である。児童数500名あまり、教員数が30名ほど。先にふれたように、E小は校区に同和地区をもつ学校である。生活状況がきびしい家も多く、現在では「単親家庭」の比率は2割をこえ、また「就学援助」(経済的な理由から、学用品や給食費等の経費の一部を支給する制度)を受けている家庭の比率は35%ほどにも達している。

1.「児童数500名あまり、教員数が30名ほど」
  児童数が500名あまりであれば、学級数は16学級ほどではないか。とするならば、通常の学校であれば、担任16+高学年の専科(音楽・図工・家庭科)+養護教諭で20名ほどではないか。それがE小学校では10名も多い。各学年+1の加配があると考えても26名。同和地区ということなのであろうが、人的配置が十分に行われていると感じた。やはり、何はなくとも「教育は人である」 『効果のある学校』を生み出すためには人的配置が一番であると改めて感じた。数だけではない先生方の努力が大きいということを知った上で数も必要であると考える。
2.「『就学援助』が35%ほどにも達している」
  私の昨年度までの経験から言わせてもらえば、就学援助率が35%というのは極めて低いほうである。少なくとも私は昨年度までの24年間、30%台の学校に勤務したことはない。50%前後が通常であり、70%に達する学校さえあった。私が例外であり、そのような学校にしか勤務したことがないからだけなのかもしれないが・・・。また、東京と大阪とでは援助の基準が違うのかもしれないが・・・。

⇒ E小学校の実践にケチをつけるつもりではないのだが・・・ 私は、1・2のことからして、E小学校は『効果のある学校』となりやすい状況にあったのではないのかと考えるが、いかがなものだろう。「志水先生であったならば、答えてくれるはずだから、連絡してみたら・・・」と言われた。連絡してみようかな・・・? 

 しかし、最終的に言えることは、本来日本が目ざすべき教育改革の方向は、志水先生も指摘されるように、新自由主義の「競争原理」や「市場原理」の導入によるものだけではないということだけは断言できる。 

学力を育てる (岩波新書 新赤版 (978))