学力低下」論争の中で「学力調査」の意義が重きを増しつつある。発端は教育社会学者である東京大学苅谷剛彦氏が、データに基づいた「教育改革」の必要性を訴えたことではなかったか。しかし、その苅谷氏も一斉学力テストやその公表を意図したものではなかったはずである。ところが、「学力低下」論争の中で各地方公共団体において一斉学力テストを実施しつつある。マスコミやホームページ等で公表される「学力調査」結果としての平均点比較は、何を意図しているのであろうか。
というのは、新しい?学習指導要領が実施されて以降、相対評価ではない「絶対評価」による評価観が重要視されている。このような時に、なぜ、かくも平均点比較の「学力調査」が必要なのであろうか? つまり、子どもの学力を論じる前に、学校比較そのものを重要視し、教師の力量等を論じたいという行政サイドの考えではないのか。