Ethiopia Study Tour 総括1

1 ステレオタイプのアフリカからの脱却  
 アフリカと聞いて、社会科教師の私がまず思い浮かべることは、貧困・飢餓・旱魃・砂漠化であった。生徒には多面的・多角的にとらえなければならないと言いつつ、その実、私自身がアフリカを多面的にとらえていないことを、今回のスタディツアーを通して思い知らされた。
  たとえば…
「アフリカは決して暑い所ではなかった」アジスアベバ空港に降り立った時、肌寒さを感じた。日本よりも南に位置するとはいえ、標高2400mもある高原であれば、涼しいのは当然であり湿気も少なく大変心地良かった。
原油高にもかかわらず交通渋滞するアディスアベバ
日本とガソリン価格は大きく変わらないにもかかわらず、燃費の悪い中古車が氾濫していた。どこに高いガソリンを購入する経済力が潜んでいるのだろう。大量の排気ガスを吐く中古車の列と荷物を背に負ったロバとの共存に戸惑いを感じた。
「高い学習意欲と熱い心をもった子どもたち」
  カラユ牧畜民が通学する学校で、教え子が作詞・作曲した“Under the same sky”を披露した時のこと。「どんなに強く 空に願っても」を“donna ni tsuyoku sora ni negattemo” とローマ字で追っていった時の子どもたちの瞳の輝きが忘れられない。現地の学校では音楽の授業は全くないという。それも初めて接する日本の中学生が創作した曲であるにもかかわらず、真剣にカセットテープの音に集中して少しでも大きな声で歌おうとする。初めて聞いた曲をローマ字日本語で必死に追う彼らは、もしかすると“Under the same sky”と考える日本の中学生の想いに必死で応えなければならないと考えたのかもしれない。子どもたちの熱い心に感動した。
「決して危険なところばかりではないアフリカ」 
   帰宅した時、小学6年の息子は「お父さん、お帰り! 元気…? 手は大丈夫…?」と出迎えてくれた。私は「元気だよ。手も足もちゃんとあるよ」と答えた。その後、私に抱きついたかと思うと「良かった、良かった。」と言いながら涙を流していた。「民兵に襲われなかったんだね。良かった、良かった。」と言う。なぜ、このように息子は心配したのか…?
 今年2月にアフリカの授業をするにあたり、DVDで『ホテル・ルワンダ』『ルワンダの涙』『ダーウィンの悪夢』『ブラッドダイアモンド』などを私が見ていたので、アフリカ=危険なところというイメージを息子なりにつくりあげてしまったようだ。息子は私が民兵に手斧で腕を切り取られたらどうしようと心配していたそうだ。
   ということは、少なからずこのようなアフリカイメージを抱かせるような授業を私は展開してしまっていたのではないかと反省した。改めてこのようなアフリカに対する先入観・思い込みを打破するような授業を今後展開しなければならないと思った。