VegeetaM2007-03-12

 NHKで放送された「プレミアム10小椋佳・63歳のメッセージ」を見た。私は『めまい』を聴きたかった。私にとって、忘れようとしても忘れられない記憶と共にある曲が、小椋佳の『めまい』である。受験番号「8876」。数字がジリ貧なのが気にかかった。高校の卒業式を終え、友人と二人で発表を見に行った。合格発表の掲示板をいくら見回してみてもなかった。二人とも落ちていた。浪人が決定した瞬間であった。その帰り道、耳に入ってきたのが『めまい』であった。軽いめまいと共に、現実の厳しさを痛感させられた瞬間であった。さあ、これからの1年間、どう過ごそうか?と途方にくれた。ふざけた高校生活を送っていたがゆえに落ちたわけで、今更予備校へ行かせてくれとは家計の状況を考えても言い出せなかった。辛い宅浪が決定した瞬間の記念碑的曲である。
 それにしても人間の記憶とはおもしろいもので、不合格の受験番号8876は覚えていても、合格した時の番号は覚えていない。それほどにショックを受けたということであろうか。


 時は私にめまいだけを残してゆく
 だから ワイングラスの角氷
 眠りにつこうとする愛に ささやかないで