VegeetaM2007-03-08

 「感動!」というボキャブラリーしか持ち合わせていないことを私自身反省させられるような舞台であった。とにかく鴻上さんの舞台は、凄い!やられた!まいった!と感じさせるものであった。
 5日、数学の先生から突然「M先生、芝居見に行きませんか?」と誘われた。「鴻上さんの『僕たちが好きだった革命』 まだ当日券が少しあるようなんです。」と。鴻上尚史といえば『ヘルメットをかぶった君に会いたい』だ。一気に読ませてしまうエネルギーを感じたものだ。私は「行くっきゃない」と思った。
 そして今日、西武新宿駅から歌舞伎町を社会科見学しつつ、危険な臭いを発する男二人シアターアップルへと向かった。
 1969年当時の回想シーンが映像で紹介された時には、心の底から「ウォー」と叫びたくなった。鴻上さんは私の一つ年下だから、お互い学生運動には一歩乗り遅れてしまった世代である。1969年の「安保闘争」以降「安保闘争」というコトバは死語となってしまったかのような感さえある昨今、久しぶりに熱いものが込み上げてきた。内ゲバの続く学生運動から距離を置いた私は、別の場所でヘルメットをかぶることとした。それはアルバイト先の建設会社であった。ガス管の配管埋設や道路の舗装工事をした。汗と泥にまみれることこそがプロレタリアートなのだと変な確信を持っていた。
 さて、『僕たちの好きだった革命』であるが、中村雅俊がいい。片瀬那奈がよく頑張っていた。セリフのテンポ。世代間ギャップに基づくオチ<「シュプレヒコール」が「シュリンプコール(海老の叫び)」等々>どれも秀逸であった。涙を流しながら思いっ切り笑った。笑いながらも私の頭の中では、中島みゆきの「シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく 変わらない夢を 流れに求めて」がずーっと響いていた。
 ただ一つ残念であったのは、機動隊役の靴が安全靴でなかったことだ。「舞台が傷つくから仕方ないでしょ」と数学の先生にたしなめられたけれど、やはり、あの靴で踏まれた痛み・蹴られた痛みも感じさせてほしかった。決して私はマゾではないが…
 DVDも発売されるそうであるが、私はもう一度いつの日にか見に行きたい。