VegeetaM2005-09-06

 15年前の卒業生(K中学校の教え子)の日本凱旋コンサートを家族で聴きに行った。私たちの結婚式の折、まだ高校生であった彼にピアノの生演奏をしてもらった。あれから13年。時の流れの早さを改めて痛感した。彼は好青年に成長し、私は白髪が増え、二人の男の子の父となった。
 以前、彼はベートーヴェンが大好きだと話していた。7年前、母校(K中学校)の20周年記念のメモリアルコンサートをお願いした時、彼は自分の好きなベートーヴェンピアノソナタを弾いた。生徒の中には「20周年のお祝いなのに、ちょっと暗いんじゃない…」という感想を寄せた者もいた。
 しかし、今日のファミリーコンサートでは、客層(家族連れや下町のおばさまたち)を十分に意識した大変ソフトなプログラムを組んでいた。ドイツに留学してから、病院や老人ホームを回っているという話を思い出した。「心身ともに成長したなぁ!」と感じた。曲を紹介する時のトークも絶品であった。特に印象に残った話は・・・
 ドイツでは、さまざまな事象に興味をもち、興味の趣くままにフラフラ歩いている子どもを注意する時、親は「このトロイメライめが…!」と叱るそうである。私自身、50歳を目前にしてもなお、興味の趣くままにフラフラしているので、特にシューマンの「トロイメライ」が気に入った。とっても心温まる演奏であった。初めて聴いた曲の中ではクーラウの「序奏とロンド」が秀逸であった。演奏に円熟味が増してきているように感じた。
 若き努力のピアニスト:TAKUMIの将来に乾杯!ということで、帰宅後、ワインを傾けながら、彼からプレゼントされた“Klavierkonzert” in Trossingen 11.02.2004 の CDを聴いた。ソフトなプログラムもいいが、やはり彼が好きなベートーヴェンピアノソナタはいい。ベートーヴェンを聴くと、私の青春時代のほろ苦い思い出がフツフツと甦ってくる。しかし、今日の演奏を聴いて、過去を思い出し懐かしむのではなく、これからもトロイメライ(夢見る人)であり続けようと思った。妻や子どもには迷惑をかけることになるが・・・