Ethiopia Study Tour 3
□ JICAエチオピア農民支援プロジェクト<FRG Farmers Research Group>を視察
白鳥清志氏よりレクチャーを受ける。
(1)エチオピアと日本の農業の比較
○エチオピアの農業 低投入 → 低収量
・毎年生きるために必要な収穫量だけ得られれば良いという考え方のもとの農業
・環境といかに折り合いをつけるかが課題
・困った時に助け合う共同社会ではあるが、
進んで農業協同組合を結成しようとはしない。
○日本の農業 高投入 → 高収量
・冬でも夏野菜をつくるなど環境を克服していく農業
・コメづくりはみな同じ水を共同で使わなければならない。
農協を結成するための下地があった。
租庸調・年貢・地租と国に税を納める習慣も古くからあった。
(2)エチオピア農業の現状
・収入を十分に得られない。 ・農業技術が低い。
*特に生産性が著しく低い
日本のコメ 1haあたり平均4,500kg収穫する。
エチオピアのとうもろこし 1haあたり平均 634kgしか収穫できない。
テフ 1haあたり平均 566kgしか収穫できない。
→この最大の原因は、降水量が少ないこと
雨の降り方が不安定であること
▽不安定な気候
5日間の合計雨量20mmが、おおむね作物が栽培できるかどうかの目安
この降水量を得られないエチオピアの大地
▽アルカリ性土壌
・pH8.5 - pH10.0 の強いアルカリ性土壌も作物が育たない要因
日本の水田地帯は酸性土壌 pH4 - pH5
・アフリカのような旧大陸は土壌が風化しきっている。
養分も水分も蓄えられないほど風化が進んでいる。
(3)現地研究員の課題
・農業試験場の研究者が研究成果をそのまま現地へ持ち込んでもうまくいかない。
試験場と現地の農家の違い(雨が降らない・イノシシが畑を荒らす等)
・研究員:農民は無気力だ! 農業をよくわかっていない!
<違うのだ!>研究員が農村に入っていくことが大切なのだ!
(4)FRGの役割
現地の農家の立場に立った研究を進める
□FRGが支援する農家訪問
(1)乳牛の改良
従来の○○牛(白色)にジャージ種をかけあわせる。
○○は乾燥および伝染病には強いが、搾乳量が少ない。
ジャージ種は搾乳量は多いが、乾燥伝染病に弱い。
(2)唐辛子の実験
エチオピアでは、一袋単位で売買されるので、
一つが丸く膨らんだものを生産した方が利益が上がる。
□MANABU小学校
・平原の真ん中にある小学校。
・電気がないため天井の天窓から明かりをとっていた。
・黒板ではなく黒板もどきがあった。日本の黒板の素晴らしさを改めて知った。
・エチオピアで黒板事業を起こしたらどうかと誘われた。
□打たせ湯体験
まさかエチオピアで打たせ湯を体験するとは想像していなかった。
それも日本のような情緒のあるものではなく、
太く湯量豊富な熱い湯がドバァーと降ってくる。
排水状況が悪いため、くるぶしくらいまでは、石鹸の白濁した湯となっている。
私以外全員黒人の中で、打たせ湯に当たっていると、黄色人種が珍しいせいか、
一緒に写真を撮ろうと誘われることとなった。
私はこれまでに自分から一緒に写真を撮っていただけませんかと依頼したことはあっても、 依頼されることは初めてであったので驚いた。
エチオピアでも裕福な人が多く来ているのか、みなさん立派な体をしていた。
打たせ湯を出たところで、イボイノシシを生まれて初めて見た。日本のイノシシよりも小ぶりであった。
□白鳥さんの自宅でのコーヒーセレモニー
ゆっくりとまったりと時が流れていくのを感じるひとときであった。
心静かにおいしいコーヒーをいただく。
□JICA農業支援専門家との夕食会
・改めてアフリカの農業支援の難しさを学んだ。援助するだけでは、増え続ける人口に対応できない。
また、女性の早婚によるマイナスを確信した。
学校へ通えなくなる。
家庭のために働かざるを得なくなる。学ぶ機会が半永久的に失われる。
・スケールの大きなアフリカに触れたならば、人生観が大きく変わると痛感した。
日本で思い悩むことがあったならば、再びアフリカの大地に立って考え直そうと思った。
・「継続」することの困難さ、しかし、それゆえに「継続」することが大切であることを学んだ。